住宅ローンで低金利の継続していることで引き続き、人気が続いている変動金利。

現在の超低金利のもとで、当面は毎月返済額が最も少なくなる金利タイプとして魅力と感じる方が多いようです。しかし、変動金利は今後、金利が上昇したときは毎月の返済額が増えるので注意が必要です。変動金利は名前の通り、半年ごとに金利が変わる可能性がある住宅ローンとなります。

変動金利は銀行ごとに仕組みが異なっているのですが、あまりその違いを理解せずに住宅ローンを選んでいる人が多いのも事実です。今まさに住宅ローンの借り入れや借り換えを検討中で、変動金利タイプを選ぼうと考えている人は、ぜひこの記事を読んでもらいたいと考えています。

今回は変動金利の仕組み・基礎知識と注意点について解説してきたいと思います。

そもそも変動金利とは?

変動金利は「短期プライムレート」(短プラ)という銀行が優良企業に資金を貸し出す際の金利を言い、この短プラを基準に住宅ローンの変動金利は決められます。

2009年以降、短プラは1.475%で推移しており、日銀のマイナス金利導入以後も変化はしていません。

変動金利は原則半年ごとに金利が見直される仕組みであり、現在の低金利が今後も続けば最も低コストで利用できる住宅ローンということになりますが、短プラが上昇すればいずれは変動金利も上昇することとなります。

ただし、日本は人口減少という構造的な問題を抱えており経済が盛り返し、金利が大きく上昇することはなかなか考えにくいとも言えます。

変動金利のデメリットとは?

SBI新生銀行やソニー銀行などの一部の銀行を除いて、変動金利の住宅ローンには一般的には「5年ルール」という仕組みが導入されています。返済する金利は半年に一度見直されますが、金利が変わっても5年間は毎月返済額を変更しない、というものです。SBI新生銀行やソニー銀行は最近非常に人気のある住宅ローンですが、メガバンクや地方銀行の変動金利とこの点の違いがあるという事を知らなかったという事をよく耳にします。

さて、その5年ルールですが金利は見直すのに、返済額が変わらないというわかりにくい仕組みですが、目的は、「急に金利が上昇するとそのままでは利息が増えて毎月返済額ももちろん増えることになりますが、それをそのまま適用してしまうと、急に住宅ローン負担が増えて困る人がたくさん出てきてしまうので、そうならないように毎月返済額が5年間は固定しよう」というものです。

従って、毎月の返済額が変わっていないだけでしかなく、5年後の再計算の時に改めて残りの期間・元本・金利で毎月の返済金額が再計算されます。金利が上昇した時は、「5年ルール」がある為に元本返済が予定より遅れている為、自動的に後ろ倒しになっているという点に注意してください。急に毎月の支払額があがる事を防いでいるだけで、5年ルールでおトクになるという事ではない、という事です。

さて、一般的に推奨されている繰上返済。普段であれば余裕のあるお金は少しでも早く返済にあてて良いのですが、上記のように金利が上昇しているにも関わらず、毎月の返済額は据え置きになっている状態では少し注意が必要です。繰上返済すると、繰上返済後の状態で返済計画が再計算されるからです。つまり、最大5年間の猶予があった毎月の支払い金額の据え置きがなくなり、繰上返済した時点で5年後に予定していた再計算が実施されてしまうわけです。すると、半年毎に見直されている金利で再計算が行われますので、月々の返済額が増える可能性があるのです。従って、前述の状況下では繰上返済で家計負担が予想外に増加するのを防ぐには、5年に一度やってくる毎月返済額の見直し時期に合わせて一部繰上返済を実行するのは1つの方法です。

SBI新生銀行やソニー銀行の変動金利タイプは上記の5年ルールは採用していませんので、半年毎の金利の見直しで金利が上昇すると、毎月の返済額がその分増える(当たり前とも言えますが)事になるという点は、しっかり認識しておくべきでしょう。

変動金利の125%ルールとは?

変動金利には125%ルールが存在します。5年ルールと合わせ、毎月の返済額が急激に増えることを防ぐ仕組みとなります。125%ルールは5年ごとに見直される返済額がその前の1.25倍を上限とするというものです。

金利上昇により本来増えるはずの返済額を意図的に抑える仕組みであり、住宅ローン契約者を守る仕組みのようにも見えますが、5年ルールや125%ルールが適用されほどの金利が上昇するとなると、毎月の返済で金利分ばかり返済することになり、元本が減らないという悪循環が起こるリスクは頭に入れておきたいですね。

ただし、繰り返しになりますが、世界的に金利が低下安定傾向にあり、日本は人口減少という構造問題を抱えているため、急激な景気回復で金利も上昇するというストーリーは考えにくいと言えます。

変動金利のメリットとは?

変動金利のメリットはやはり現時点で最も低い金利を実現されているということに尽きるでしょう。下記が国内金融機関の変動金利ランキングになります。

変動金利比較表/

変動金利比較表
No銀行名変動金利特徴
1auじぶん銀行
HPご確認% (新規借り入れ・全期間引下げプラン)
※1
がんと診断されたら住宅ローンの残債が半分になる、がん50%保障と全ての病気とケガを保障する全疾病長期入院保障※2が無料で付帯してこの低金利。低金利ネット住宅ローンの代表格。
1
SBI新生銀行年0.290%(手数料定額型)金利優遇キャンペーン適用時
2住信SBIネット銀行(WEB申込コース)年0.298%~(通期引下げプラン)
※2
インターネット専業銀行として高い人気を集める住信SBIネット銀行の住宅ローン。全疾病保障が無料で付帯。
2PayPay銀行年0.315%(全期間引下型)三井住友銀行とZホールディングス(旧ヤフー)が出資する日本初のネット銀行。来店不要・ネット完結・電子契約で利便性も抜群。
※借入総額が、物件購入価格および建築請負価格の合計額に対して90%以内のお客さまが対象です。
※本優遇を受ける場合は、諸費用、事務手数料も自己負担となります。
3
ソニー銀行
(変動セレクト住宅ローン)
年0.397%
オリコン顧客満足度上位常連。無料の疾病保障も魅力。
※2023年11月1日からのお借り入れ分について、新規購入での物件の購入価格を超えてお借り入れの場合は、金利が年0.05%上乗せになります
4イオン銀行年0.380%※4イオングループでの買い物がいつでも5%オフ
※この表の金利は定期的に更新されるため、記事本文と更新タイミングが異なる場合があります。
※1 。審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます。
※2 物件価格の80%以下で住宅ローンをお借入れの場合。審査結果によっては金利に年0.1%~年0.3%上乗せとなる場合があります、借入期間を35年超でお借り入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.15%が上乗せとなります。
※4 物件価格の80%以内でお借入れの場合